JALを目指す
一般の出版物のほかに、旅の会話集や地図などの著作物をソリューション・シールとして旅行事業会社に提供するなど、立場を活かして大きな収益を上げている。
株式会社化されるまでは本社直轄の事業局だったが、その当時から、大手出版社に比肩するほどの事業規模で知られていた・とした「仕組みづくり」は、一括仕入れや横断的交流人事以外にも、徹底討議されてきたのである。
JTBにおける出版事業の歴史は古く、一九一三(大正ニ)年、俳人・高浜虚子らの寄稿文「交流文化産業」の一翼を担う企業群を載せた機関紙『ツーリスト」の発行が起源とされている。
また、現在全国の書店で発売されている『JTB時刻表』は、ニ三年に鉄道省(現JR)の『汽車時間表』を編纂したのが始まりで、日本における時刻表の元祖となった。
ダイヤ改正時には一五○万部もの売上を誇った「隠れたベストセラー」で、JTBの収入源の主要な部分でもあった。
しかし、この「ドル箱」も、国鉄民営化により独占的な監修が外れて、現在では、JRグループの交通新聞社が発行する『JR時刻表』とシェアを競っている。
この出版事業も、インターネット普及の煽りを受けたが、旅行ガイドブックや観光情報誌『るるぶ』などは、依然、売上も好調だ。
専門性の高い出版社として、業界内での地位も確立し、書店の旅行ガイドブックの棚を占める割合をみれば、「JTBパブリッシング」の強さを実感することができるだろう。
年間六○○点の雑誌や書籍を発行しているというから、毎日一、ニ点は世に出している計算だ。
また、紙媒体ばかりでなく、近ごろではデジタルコンテンッの販売も手がけている。
広告収入も含めて年間二一七億円の売上高を誇っているのだ。
ちなみに、旅の雑誌名になっている「るるぶ」の語源が、「見る、食べる、遊ぶ」の末尾を繋ぎ合わせたものだということは、意外と知られていない。
旅に欠かせない三要素を、「るるぶ」という言葉に込めたのだ。
これからの観光は、単に見るだけでなく、「交流する」「体験する」「遊ぶ」の三つがキーワー「交流文化産業」をキーワードにJTBのオリジナルイベントも法人営業が触手をのばしたがるジャンルの一つが「イベント」である。
セールスコンテストなどの授賞式とあわせた宴会場利用の企画では、会場手配だけでなく、交通機関のチケット手配、宿泊予約など、旅行業の範晴でビジネスを完結することができるから、JTBのコアを活かした展開が可能だし、比較的利益率が高い。
ところが、「会議や大会(コンベンション)」「広告宣伝(プロモーション)」となると、高度な知識や入念な企画提案も求められてくる。
通訳者や芸能人などの手配はもちろん、会場要員の手配など、専門性も問われてくるのだ。
大型のイベントを受注するには、プレゼンテーションによる入札方式で勝たなければならない。
競合先は、大手広告代理店をはじめ、中小の代理店やPRエージェンシー、各種イベント会社が名を連ねるから容易ではない。
しかし、近ごろではJTBグループ全体におけるイベント事業の取扱量は増加傾向にある。
スケールメリットを上手に活かした手配力や、専門性に力ドになるといわれている。
旅達者になった現代の日本人は、以前の物見遊山型観光旅行から、一歩踏み込んだものを望んでおり、観光の実態も、この新しい「る・る・ぶ」と化しているわけだ。
このように「JTBパブリッシング」は、二一世紀に向けてJTBが提唱する「交流文化産業」の一翼を、確かに担っているのである。
ちなみにJTBグループ内には、イベント・コンベンションに強い「株式会社ジェイコム」、国際会議に強い「株式会社ICSコンベンションデザイン」、広告宣伝およびイベント・プロモーションなど総合広告代理店業として全国展開する「株式会社ジェイアイシー」という独立系のイベント事業会社が複数存在する。
これらのノウハウを蓄積したイベント専業の会社と旅行事業会社のセールスマンが連携を取りながら受注してくることも少なくない。
イベント関連事業への傾斜は、法人営業を中心に今後も進むと考えられ、これらの商機をとらえようと積極的に企画立案をする社員が増えている。
地域興しにつながるイベント企画また、「交流文化産業」を象徴するイベントの一つである「杜の賑わい」は、全国各地の郷土に根づく伝統芸能の数々を一堂に集めたJTBオリジナルイベントで、八二年から実施されている歴史あるものだ。
海外での開催も含めると、実施回数は一○○回を超えた。
旅で訪れた人たちに郷土芸能を鑑賞してもらうだけでなく、地域の活性化や伝統文化の伝承、観光促進の効果も高いことから、ロングセラーになっている。
大がかりなイベントをJTBが独自に開催することで、新たな旅行需要の創造や社会貢献につながっているものである。
業務用タオル輸入日本一を誇る「JTB商事」ここで、JTBが手がけている旅行周縁ビジネスの成功事例を紹介しよう。
JTBグループには、旅行事業を専業とする会社のほかに、労働派遣業や運輸業、物流サービス業、金融業、広告代理業、イベント業、トラベル専門学校、調査研究機関など、多岐にわたる業種がひしめいている。
中には、一つの業種で複数の会社が目的別に設立されているケースもあり、海外現地法人も含めるとグループ会社は一七○社を超えている。
例えば、グループ内に商事関連会社は四社あり、観光写真などを専業に扱う「JTBスーベニァ&フォト」、弁当仕出しやケータリングを扱う「JTBフーズ」、旅行パンフレットに使用ホールディング化のシナリオを、S氏社長とニ人三脚で構築してきた常務のSは、「事業領域の拡大といっても、あくまでもコア・ドメインである旅行業の周縁にビジネスチャンスはある」と明言している。
「中核となる部分から離れれば離れるほど、失敗する確率も高まる」と、グループ全体に注意喚起することも怠らない。
旅行業周縁にビジネスチャンスがある例えば、「JTB商事」が取扱う海外のお土産販売の場合では、保税倉庫にプールされた各種の土産物を、「JTB物流サービス」を通じて、自宅や知人宅など受注先へ配送する仕組みになっている。
各国の特産品や土産物は、JTBの現地法人を通して買い付けることもある。
このようなビジネスは、グループネットワークを活かした旅行周縁事業としては、極めて分かされる膨大な紙は「JTB紙商事」、スーツケースなど旅行グッズ、海外土産等を扱う「JTB商事」と、事業ごとに細分化されている。
なかでも、○五年四月に設立された「株式会社JTB商事」(東京都豊島区、資本金一億円)は、JTBのコアを最大限活用することで事業が行いやすい。
ところが「JTB商事」には、こうした海外のお土産販売以外にも、隠れたヒット事業がある。
実は、国内の温泉旅館で使用される業務用タオルは「JTB商事」が扱っており、輸入量日本一を誇っている。
中国から輸入されるタオルは、年間四○○○万本だ。
温泉旅館に宿泊した際に渡される浴用タオルには、旅館名がプリントされているものが多いが、あの卸元なのだ。
こうしたタオル類や歯ブラシ、ときには浴衣までもが、「JTB商事」の取扱商品である。
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